2011年12月24日土曜日

iBasso A02 (その2:内部をばらしてみました)


ちょっといたずらして、iBasso A02のふたを開けて中身を見てみました。

残念ながら、全てのOPアンプの表面が削られてしまっていて、銘柄は何を使っているかはうかがい知る事は出来ませんでした。唯一分かるのは、ボリュームコントロールICのDS1801という文字だけです。
カタログでは、オペアンプが8機搭載と書いてあったので、増幅用のDualオペアンプICが4個、ぐらい積んであるのかと思いきや、SSOP8ピンの怪しきICが5個、さらに、TSOPのICが2個搭載されていて、ちょっと訳分かりませんね。

根気よく、回路を逆アセンブルしていけば、OPアンプIC交換なんかも出来るようになると思うんだけど、ちょっとそこまでの気合いはありません。

「スパイラル物置」さんというblogに、このA02のベースとなったT5の分解写真が公開されていますが、構成としては大体同じ感じですね。

ので、壊す前に、大切にふたを閉じました。
だれか、回路図を逆アセンブルしてくれる人、出てこないかな〜。

2011年12月23日金曜日

iBasso A02 (ヘッドフォンアンプ)

僕のヘッドフォン熱は加熱するばかりで、ヘッドフォンアンプという物を買ってしまいました。
いつもの、秋葉原のE☆イヤホンに言って、色々と視聴したところ、この機種が、値段も手頃で、良い意味での“普通”の音でしたので、この機種に決めました。

iBasso A02という機種です。
詳しくは、こちらです↓
http://www.hibino-intersound.co.jp/information/2769.html



気に入ったところはいくつかありますが、
一番は、薄くて小さいところでしょうか。
ヘッドフォンアンプと言うと、こんな感じ→のアルミ押し出し材のケースを使っている物が多いと思うのですが、そこまで大げさな物は抵抗感が有りました。
右の写真は、PICO USB/DACという機種で、実際に音は良かった(値段も良い)のですが、持ち歩くにはちょっとという感じでした。

あと、抵抗感があったのが、アンプというより「バスブースト(低音増強)」の機能を売りにしている物が多かった事です。確かに、重低音の音は派手で素人受けをするのでしょうが、アンプというのもは基本的に、原音を忠実に再現する物であって欲しいと思います。特に、ヘッドフォンの場合は、機種ごとの個性が強いので、なおさらアンプ側は素直な物じゃないと“泥沼化するな〜”という思いもありました。

と言うわけで、このiBasso A02という機種を買いました。当初は、その一つ下の機種であるA01を買おう(お値段も9,800円とキリが良いですし)と思って、視聴をしたのですが、こっちのA01は音に色づけが多くて(いわゆるドンシャリ)、好感を持てませんでした。

さあ、前置きが長くなりました。
肝心のA02の音の印象ですが、iPhone3GSに直結の時と比較して、

  1. 出てくる音の帯域が広がります(低音から高音までより広く出るようになります)
  2. 音の制動力があがります(ドラムの様な破裂音が、ビシッと決まるようになります)
  3. より、音が立体的に聞こえるようなります(音の粒立ちがはっきりする感じです)
というのが、主に感じた変化です。このアンプはBTL型駆動ということですので、上の3つの特徴はまあ納得という感じでしょうか。比較対象に、Mini Watterと聞き比べてみましたが、音の“制動力”という意味ではA02の方が明らかに良いですね(OPアンプのダンピングファクターは、真空管とは比べものにならない位高いで当たり前ですね)。それでいて、細かい音のディテールもMini Watterに負けず劣らず表現するので、設計者のセンスの良さを感じます。

逆に、音の艶というか色気の様な物は、真空管アンプのMini Watterだけが持っている独自の世界で、A02にからは感じる事は出来ませんが、それだけA02は生真面目に音を鳴らすアンプと言って良いと思います。

そして、これを言ってしまってはおしまいかもしれませんが、所詮プレーヤーがiPhoneというレベルでは、あんまり目くじらを立てて音質を云々いうのは野暮ですね。A02を入れただけで十分に音は良くなります、それ以上の音を求めようと思ったら、ヘッドフォンアンプよりiPhoneを買い換えた方が効果的でしょう。

以下、加筆分:
その後、2週間ほど聞き込んで見ました。一個、大きな問題点を見つけました。
iPhone 3GSで使っているのですが、電波強度が強いとき、例えば、webブラウスをしながら音楽を聴いていると、高周波ノイズが頻繁に入ります。
アンプを、iPhone本体から距離を離せば大分改善するのですが、使用方法としてそれもめんどくさくて我慢しながら使っている状況です。

それから、音質に関しても、聞き込んでいくと色々と不満も出てきますね。
一番の不満は、解像度がもう一ランク高いと良いな〜、という事です。まあ、普通に聴く分には十分の解像度なのですが、もう少し音のエッジが立ってくれると言う事無しなんだけどな〜、という感じです。これも、ある意味BTLアンプの(悪い部分での)特徴ですよね。

2011年12月19日月曜日

ULTIMATE EARS TRIPLE.FI 10(10PRO)

僕のヘッドフォン選びは、SonyのMDR-EX1000という機種で落ち着きそうなのですが、その過程でご多分に漏れず、色々と“迷走”しましたので、その散財の成果を若干ご紹介したいと思います。

最初の紹介は、ULTIMATE EARS TRIPLE.FI 10 (10PRO/通称“テンプロ”)です。

実は、今回のヘッドフォンに選びをするまでは、BA型(バランスド・アマーチュア型)という形式が有る事すら知らなくて、お店に行って初めてその存在を知って、一度その音を経験したいという欲求に従って買ったのが、この“10PRO”です。

一言で言えば、BA型の特徴を象徴的に表している機種だと思います。とにかく、音のディテールがはっきりしていて、レンジが広くて、音場表現が“これでもか !!”  って感じで広がります。


この辺は、各帯域(高音/中音/低音)で最適化したBAドライバを3機搭載するマルチドライバ形式ならでは良さだと思います。初めてその音を聞いたときには、良い意味での大きな衝撃を受けました。


このヘッドホンは、ロックとか電子音向きと言われますが、その帯域の広さと輪郭の正確さも手伝って、オーケストラや(音数の多い)ポップスなんかも良く鳴らすと思います。このメーカーが、ステージ上のモニターイヤホンとしてミュージシャンから指示を受ける理由も、この「輪郭の正確さ」に有るのでは無いかと思います。


ただし、


ここからが、僕が結局、手放してしまった理由になるのですが、10PROのネガティブな点として良く指摘されている「ボーカルが引っ込む感じ」を僕も感じて、どうしてもそれが許す事が出来ませんでした。


厳密にクロスオーバーの周波数を調べたわけでは無いのですが、マルチドライバ故に、音のクロスオーバーのさせ方に若干問題が有るように感じます。しかも、その繋がりが悪いと感じる部分が、自分が特に重視しているヴォーカルやギターの主旋律域であったので、その時点で他が良くてもNGとなってしまいました。


最後に、どうでも良い事かもしれませんが、この10PROは、とにかく“敏感”ですので、遊ぶにはとっても楽しいヘッドフォンだと思います。アンプを換えたりとか、ケーブルを換えたりとか、イヤーピースを換えたりとか、そう言った変化に敏感に反応します。なので、これをネタに色々と試してみて、「いや〜、ヘッドフォンって物はさぁ〜」ってウンチクを垂れるには良い機種かもしれません。


そんな事を含めると、他人の口コミ情報が重視されるネットの世界で、高い評価を受ける理由も何となく納得出来てきます。ただ、それを楽しむには、僕は年を取りすぎているし、自分の好みも明確化しすぎていたのかもしれません。


そう言う訳で、10日ほど楽しんで、さようならと相成りました。

2011年12月18日日曜日

Sony MDR-EX1000 (インナーイヤーヘッドフォン)

久々にオーディオネタは、イヤホン(ヘッドフォン)の話です。

SonyのMDR-EX1000というインナーイヤー型のヘッドフォンを買ってしましました。

最近のはやりでは、こういう耳に突っ込むタイプは「イヤホン」と言って、頭の上をアームが跨いで耳にかぶせるタイプを「ヘッドフォン」って言うみたいですね。ただ、“Walkman”と一緒に青春を過ごした僕にとって、やっぱり「ヘッドフォン」と書いた方がしっくり来るので、この言い方を続けます。

さて、あまりヘッドフォンにはこだわっていませんでした。そもそもiPhoneから大して良い音がでない事が分かっていたし、新幹線の騒音の中ではあまり目くじらを立てて音質をこだわる気にもなれませんでした。

その後、Mini Watterを作った事をきっかけに、ヘッドフォンが面白いな〜と感じ始めて、色々と物色して、行き着いたのがこのヘッドフォンです。

恐らく、このblogに訪れる方はご存じと思いますが、カナル型(耳に突っ込む形式)のヘッドフォンのドライバは、従来のダイナミック型と、BA(バランスド・アマーチュア)型の2形式がありますが、僕は、ダイナミック型のゆとりのある鳴らし方が好きなようです。

さて、話をMDR-EX1000に戻して、肝心のインプレなのですが、モニターイヤホンというだけあって、すごく「正確な音」を出します。

印象的なのは、圧倒的に広いダイナミックレンジと、音楽のおいしさを髄まで絞り出すような音の密度の濃さです。その上で、エンクロージャーの響かせ方が絶妙なのか、自分の脳みそいっぱいに音場が広がります。このコンサートホールにいる様な「音場の広がり」はこの機種だけが持っている特徴かもしれません。

実は、MDR-EX1000を買う前に、秋葉原のE★イヤホンというお店(とても良いお店です!!)で散々に他の機種の聞き比べもしました。例えば、BA型で評判の良いTRIPLE.FI 10 (10PRO)は、音が人工的な上、特定の周波数の音に濁りがあってNG。Westone4は好みの音だったんだけど、若干、音の出が苦しそうなのがなんかストレスを感じてNG。ダイナミック型の“高級機種”と言われるSENNHEISER IE80については低音過多で完全にNG。

こんな感じで、散々試して半ばあきらめかけていたところに、MDR-EX1000を聴いて、「目から鱗」じゃなくて「耳から鱗」。すごいぞ、Sony!!と声を出したくなる位、感動的な音でした。

ということで、明日からの新幹線通勤の時間が楽しくなりそうです。