2015年3月4日水曜日

〝DOPPELGANGER”社の自転車事故で思うこと

こんな記事が、ちょっと世間を騒がせていますね。

http://mainichi.jp/select/news/20150301k0000m040082000c.html

読者の方々は、薄々お気づきの通り、2年ほど前までは自転車業界の端っこの方で働いていたので、こういう話はちょっと気になります。

走行中のフレームが「ポッキリ」と折れた訳ですから、相当の事故と言えるのですが、記事の書き方としては、「氷山の一角」といった表現を使っているように、注意深く、特定のメーカーや商品(この場合は、DOPPELGANGERブランドの自転車)の批判を避けている様に見えます。

さて、この記事の言うように、自転車のフレームの破壊に伴う事故って、しょっちゅう発生しているのでしょうか?

あまり、大きな声では言えませんが、答えは「YES」と言えるでしょう。
さすがに、「しょっちゅう」ではありませんが、この業界にいれば、毎年、片手では足りないぐらいの事故報告の話は聞くぐらい、「普通に起こっている事」です。

たとえば、消費者庁が公開している製品事故のデータベースで「自転車」と検索をかければ、かなりの数量のフレーム破損に伴う事故情報を知ることができます。

URLはこちらです↓
http://www.jikojoho.go.jp/ai_national/

これだけのフレーム破損による事故情報が公開されているのに、何で、「政府(この場合は、消費者庁であり経済産業省)は、危ない製品の発売を中止する措置を取らないんだ!!」という義憤を感じる方々もたくさんいると思いますが、ここがすごく難しい所なんですよね。

というのは、「フレームが折れる」っていう事故は共通であっても、その原因は様々だからです。

第1のケースとしては、お客さんの誤った使い方をした場合。例えば、普段から二人乗りをして、街中をガンガンに走っていたとすると、フレームにはそれなりの負荷が掛かってしまうから、当然壊れるリスクは上がる訳です。

第2のケースとしては、今回の様に、「フレームが折れる」という事故が起こる前に、何かしら強い衝撃が加わる事があって、フレームにダメージを与えてしまった場合。例えば、他の自転車とぶつかったとか、駐輪場で将棋倒しにあったとか、まあ、本人が気が付いていない所で、フレームにダメージが蓄積していて、最後にちょっとしたきっかけで「ポキッ」と折れてしまったケース。

これら、第1/第2のケースの場合には、メーカー側としては、「お客様自身の使い方が誤っていた(「適切ではなかった」って言い方をしますが)」ケースとして、当然、自分たちには非は無いと主張します。

そのうえで、第3のケースとして、壊れたその製品だけに、製造上の不良があったというケースが考えられます。例えば、偶然、溶接部にゴミがついていてその部分の溶接が充分に乗らなかったとか言う場合です。
まあ、使う側としてはそんなことはあっては困る話ですが、作る側としては、ちゃんと品質を管理してたつもりでも、その管理の隙間で起こってしう製造不良は当然ある訳です。特に、自転車フレームの溶接工程は、手作業がやっている場合が多いので、必然的に、こういう不良が起こるリスクが高くなります。
しかも、このケースが厄介なのは、メーカー側が故障の原因がつかめて事がほとんどだからです(そりゃあ、原因が分かれば、改善できていますよね)。

さて、第3のケースの場合には、メーカー側の対応はどうなるでしょう?
ここが、メーカーの良心によって、多種多様な判断となる部分です。

最後に、第4のケースとして、明らかに設計上や製造上のミスがあったケースです。
例えば、構造解析をしてみたら、明らかに壊れやすい部分が見つかった。試験評価をしたら、基準に達さないうちに、フレームが破損してしまった、というケースがあります。

この第4のケースの場合には、メーカーとしては、製品を交換したり、対策部品を提供したりといった「是正措置」を取ることが求められる事になります。

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ここまで書いてきたように、国の法律(PL法や消費者安全法)で、明確にメーカーの責任が問われるのは、上記のうち、第4のケースだけになります。これが、僕が「難しい」と言っている部分です。

それを踏まえて、〝DOPPELGANGER"ブランドの自転車を、製造販売しているメーカーのwebサイトを見に行くと、メーカー側は、全ての製品は『JIS基準』を満足する形で、設計/製造されていて、そこからさらに品質改善にも取り組んでいるという主張をしています。

このページを見ると、良くわかります↓
安心への取り組み
http://www.doppelganger.jp/brand_action/for_reassurances/

一方、新聞報道によれば、今回のフレーム破損の原因となった溶接不良は「新品時から発生していた」

この2つの事実を総合すれば、今回の自己は、上記の「第3のケース」に該当する事になります。
(まあ、あくまでも当事者たちの主張に嘘が無いという前提ですよ。)

なので、この訴訟がどういう形で着地するのかは、なかなか「難しい」判断だと思います。

何とも、後味が悪いですね。
さて、この「後味の悪さ」を助長しているもう一つの要素について、次の記事で書いてみたいと思います。

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