2011年6月11日土曜日

6B4G 全段差動PPアンプ 製作編#1(シャーシ加工)


新しいアンプの製作に着手しました。
現在のメインアンプで、300B(Fullmusicのメッシュナス管)の全段差動PPに換わる存在として、同じ3極管の6B4GのPPアンプを企画中です。

今回のテーマは、「見て美しく」、そして「安定した動作」をすることを目標に、とにかく熱設計(放熱)を考えながら作っています。
そんなわけで、この業界(真空管アンプ)ではあまり見られない、仰々しいヒートシンクがシャーシの上に屹立しています。

今回、B電源はMOS-FETの簡易安定化電源にする予定なのですが、計算したら、発熱が約5Wあります(20Vの電圧降下*250mAの電流)。この発熱を、温度上昇ΔTを15℃以下にしようとヒートシンクを探したら、この大きさになってしまいました。

それ以外の工夫としては、

 ・バイアスは、定電流回路と-電源の半固定バイアスにする
 ・ヒーターは直流点火にするけど、順方向電圧の降下量が少ないSBD(ショットバリアダイオード)を使う
 ・プレート電流は、性能が落ちない程度に、そこそこに少なく

なんて事を考えながら作っています。

で、とりあえず、シャーシ加工が終わった所です。
気持ち的にはもう少し放熱穴を開けたいのですが、天板が2mm厚のアルミということで、これ以上開けると強度に不安が出てきそうなので、これぐらいにしておきました。

ちなみに、今回のダイオードは、左の写真の秋月電気のブリッジ式のSBDのD15XBS6を使いました。

このダイオードは、(ブリッジダイオードで)ダイオードが2個挟まっているに関わらず、順方向電圧降下が0.63V(max)と少ない電圧になっています。
通常品だと、大体0.95V位ですので、約0.3Vの違いがあります。たかだか0.3Vと感じるかもしれませんが、6.3Vのヒーター電圧の約5%ですのでCRで除去できるリップルは5%改善できます。さらには、6B4G*2本で2.4Aのヒーター電流を必要としますので、0.3V*2.4A=0.72W分の発熱も除去できます。

その分、お値段もよろしく、一個200円!! しかも、4個!!
まあ、絶対額で言えば安いっちゃ安いですが、普段@10円程度の普通のダイオードを使い慣れている身にすると、一瞬固まりますね。

ちなみに、以前の300Bアンプでは、有名な“出川氏”が開発したA&R labのSBDを使いましたけどね。たしか、これは1個1500円近くした様な記憶があります。出川氏とは、とあるイベントで直接話をさせて頂いたこともありますが、エンジニアだけあって、言っていることは極めてまともです。彼の求めている物は、ダイオード整流時の高周波ノイズを極限まで減らすことにあり、その手段として彼の提唱する論理は、(詳細は僕には分かりませんが)十分に信用して良いと思います。

ただ、自分の経験から言える事は、高周波ノイズが「音」に与える影響は僕は認識出来ませんでした。まして、ヒーター電流の交流点火と、直流点火の違いも聞き分けられません。唯一言える事は、直流点火は残留ノイズを減らす方法として極めて有効なことです。

SBD(ショットキバリアダイオード)やFRD(ファーストリカバリダイオード)にまつわる「高周波ノイズ」課題は、あくまでも可聴周波数を超えた高周波用途、たとえば、スイッチング電源等の領域で初めて議論の価値が出てくる物だと思います。実際に、各メーカーの仕様書を見ても、明らかにスイッチング電源を意識した記載がほとんどですしね。

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